60年以上長く営んで来られ、地元で愛された風呂屋さん。 ご両親がご高齢になられ、既に風呂屋さん建物は解体されていましたが、息子さんの奥様がミニチュアで再現をしてお母様にサプライズプレゼントすることを思い立たれて、制作のご依頼を頂きました。 ご兄弟も一緒に話し合われて、どのシーンや小物をミニチュアに残されたいか、また、そこにはご家族でどんな思い出があるか、お聞きした上で作家として物語を描きながら制作させて頂きました。 また、男湯女湯両方を制作するには予算に収まらないので、それぞれから“いいとこ取り”をして私のセンスで、ひとつの湯の作品にさせて頂きました。 この辺りが建築模型と異なるアート作品制作の醍醐味です。 お客様の沢山の想いや心に触れさせて頂くことが出来て、とても幸せな時間を頂いたと思っています。
お客様の声
64年以上守り続けた銭湯をミニチュア化をしてもらいました。 私も、幼少の頃からいつも両親が風呂屋の仕事をしている姿を見て育ったので、思い出が沢山あります。 想像以上に細部に渡って作り込んで頂いた事により、私も思い出がいつでも蘇るようになりました。(当時きったないなぁと思った親父が補修した浴槽の箇所まで) 予算に応じて制作していただいて、希望の部分は全て入れて頂きました。 一つ一つに、エピソードがあるので、昔をいつでも思い出すことが出来るようになりました。 比較的近かったので、引き取りにアトリエに伺った際に『子供をよそに出す気持ちです』って、おっしゃっていた事が印象的で、それだけ子育ての様に愛情こめて作ってくれたんだと、作品を見て納得しました。 そして、実家の母親のところへ行って、ミニチュアをプレゼンとしました。母は箱を開けるなり、「凄い、なんでこんなのが作れるの?」「えー、タイルの主人が補修した跡まで再現されている!」「この立掛けた木の板を見ると、お湯をかき混ぜたくなるよ」「思い出が蘇るよ」「亡くなった主人にも見せたかったなあ。でもきっと見ているよね」と言いながら、細分をよく見た後、泣き出して、見守っていた我々ももらい泣きをしたという予想通りの結果となりました。予想していなかったことは、浴室の壁のバレリーナの絵は、母の妹が以前バレーをやっていたから、この絵になっていたということを、その時、始めて聞かされたことでした。 実家に行く度に、私も、作品を見て昔を思い出すと思います。ありがとうございました。