お父様が営んでこられた自転車屋さんのミニチュア。
「お父様の道具箱」
先ずは道具箱本体。
形を作った後、使い込んだ風合いを出すために、着色してはやすりで磨き、また塗るを何度も繰り返し。
これはお父様が重ねてこられた年月を、早送りで数時間で凝縮する作業です。
仕事をする姿を想像しながら進めていきました。
使い込まれた木のテカリ具合を加えて完成。
次は工具類だけど、さてさて・・・
素人の私には、自転車修理で使う工具類の知識はありません。
ネットで画像検索するところから始めました。
頂いた資料の写真と見比べながら、これは何に使うものなんだろう?
ご依頼者のお父様は、どのタイプのものを愛用されていたんだろう?
どんな材料を使えば、工具の質感や使い込んだ風合いを表現できるのだろう?
形を整えたり細工するのに扱いやすい材料を決めるのに、あれこれ試してはボツ。
細工している最中に破損してしまいボツ。
などと書くと大変に思われるかもしれませんが、これって結構楽しいんですよ。
最適な素材が見つかって、目指していた質感が表現できた時の喜びがとても大きくて。
私ってもしかして天才?
な~んて。。。
数時間後には、まだまだだな~って落ち込むんですけどね(笑)
試行錯誤の上、ようやく納得のいく工具類が完成。
今後、こういう職人さんの道具類の登場する作品にも生かせそうだと、手ごたえのようなものも得られました。
職人さんの使い込んだ道具って、美しいなぁ。
もっと作ってみたい。
さて、次はお店の看板です。
これも課題がひとつ。
看板の文字は、パソコンのフォントにはない独特のデザイン文字。
う~ん。
これはレタリングで手書きするしかないね。
大事な大事な心象風景のひとつだから、責任重大だぞ?
ここでも写真とにらめっこです。
紙に文字をレタリングで描き、工作材で看板の形を作ったら、長い間雨風にさらされた風合いを出す
汚しとかウェザリングと言われる作業です。ここをしっかり丁寧にしておかないと、
お父様が重ねてこられた時間が感じ取れなくなるので、とても大事。
またまた写真とにらめっこして、どう汚せばよいかを読み取っていきました。
こうやって、作品を構成する小物たちが出来てくると、面白いですね。
私は一度も足を運んだことのない見知らぬ場所なのに、匂いとか空気感、
そこにあった人の営みのようなものが感じられてくる。
ミニチュアドールハウスを制作している中で一番、楽しくてゾクゾクする瞬間です。
いつか大事な思い出を私も託してみたいな。
そう考えてらっしゃる方は、是非、心の中の素敵な思い出のエピソードも
たくさんお聞かせくださいね。
その大切な物語が、作品に命を吹き込んでくれます。
思い出の風景をミニチュアドールハウスに残すというご依頼は、お客様との二人三脚だとも言えます。
一緒に素敵な物語を描いていきましょう。
次回は「お父様の道具箱・昔ながらの自転車屋さん」完結編です。
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